アカイリボンと欲しい物




「ちょっと待ってよあすか〜!!」
「ハヤトが遅いからでしょ――!ホラ早くっ!!」
遠くから聞こえてくる、賑やかな声と共に、沈む俺の心。
温かなチームの中で、ハヤトは何と幸せそうに微笑うのだろう。

握られたケータイ
伝えられない気持ち――――。

爆発しそうになる欲望を押さえつけるかのような、荒々しい仕草で、それをジャケットにしまい込む。
刹那、息を切らせて駆け寄ってくる、幸せなヒト。
「待って…っ!!加賀さんっ……、歩くの…早い………!!」
「――――悪ィ、気付かなかった」
ウソはもう、慣れたから。
精一杯、いつものオレを演じる俺。
「どした?」
「あの…お誕生日おめでとうございます…」
「―――――――………」
おずおずと差し出された、大きな赤いリボンのついた白い箱。
「何が欲しいのか、よく分からなかったから……その、気に入らなかったら捨ててくれても構わないですから」
不安そうに見上げてくる大きな瞳に、少しだけ心の波が穏やかになった気がして
「知ってたのか?……ありがとな」
そう言って微笑った俺に、安堵の息をつくハヤト。
「俺が欲しい物……か」
「………………?」
「おめぇには、わかんねーか」
箱についていた赤いリボンを、掴んで開かせたハヤトの手の中にそっと置く。


お前が欲しかった
なんて、きっと一生言えない言葉の代わりに―――――。




END



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